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2012年7月28日

オリンピック

 あ!危ない!大きなトラックが幅寄せをしてくる。

 私はオートバイ。避ける道幅もない、細いまっすぐな一本道。ポーランドの田舎道。

 運転手が窓から「止まれ!」と怒鳴っている...ように見える。

 身の危険を感じてブレーキ。するとトラックも停まって、中から運転手が出てきた。筋骨隆々だ。

 殴られるのかと思いきや、ニコニコ顔。その男は私のオートバイを持ち上げ、軽々と荷台に乗せた。そのパワーに度肝を抜かれた私は、いつのまにか助手席に座って再び、田舎道のドライブを再開した。

 

 互いに下手な英語での会話。自宅に寄っていけと言っている。これまた田舎の一軒家。どうやら独り暮らしのよう。おいおい、俺にそんな趣味はないよと心が言っている。

 

 すると、彼はまたニコニコ顔で、スポーツジャージを持って来た。そこには「POLSKA」の文字...

 

 驚いた。彼はポーランドの代表選手として、東京オリンピックに出たというのだ。重量挙げ。オートバイを軽々と持ち上げるはすだ。東京はすごかった。車が多かった、道にチリ一つ落ちていなかったと身振り手振りで思い出話を聞かせてくれる。メダルは見せてくれなかったから、きっと早々に敗退したのだろう。それでも私は、自身が東京オリンピックに出場し、彼と時間を共にしたような感覚を楽しんだ。東京五輪は私が生まれる前年、1964年開催というのに...

 

 ロンドンオリンピックが始まった。学校で一番になるのも難しいというのに、彼らは世界一を競うのだ。華やかな開会式を利用者さんと見ていると、別世界のようにも思える。国家の威信、スポンサーや周囲の期待、将来の生活...さまざまなものを背負った選手たち。歓喜と苦悩が交差する瞬間は私には想像もつかない。だが、彼らがいつかどこかでロンドンオリンピックの思い出話を誰かにする時、笑顔であればいい。彼らは人間の肉体の限界を知った人生を得たのだから。勝敗はいざ知らず、四半世紀前、ポーランドで出会ったあのおじさんのニコニコ顔のように笑顔であればいい...(Z)

 

投稿者:W・I・N・G 路をはこぶ 日時14:52 | パーマリンク

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