2016年11月 9日
難しいね...
先月、社内の研修を受講した。この春、新聞社で「デスク」と呼ばれる中間管理職になる社員が対象の研修だ。駆け出し記者のころ、理不尽に怒鳴りまくるデスクは本当に怖い存在だった。鬼デスクになるための研修と思いきや、どうやら昨今の事情は複雑化している。
若い記者を鼓舞するための荒々しい決めゼリフ。特ダネを書かない記者はネズミを捕らない猫と同じだ。特ダネなき者は去れ、チイチイパッパじゃねえぞ、辞めてしまえ、アホ、ボケ。さんざん聞かされたデスク用語は今や「パワハラ」に該当し、部下のうつ病の原因になったりするという。研修に集まった40歳前後の世代の社員はデスクの言葉の戦禍をくぐり抜けてきた者ばかり。やっと好き放題に言える側に回ったと思ったら、「言っちゃダメ」である。どうにも納得できない気分のところに、新しい職場の上司から電話が。「またぞうきん掛けからやってもらうからな。覚悟しとけよ」
肝心なことを忘れていた。若者たちはデリケートかもしれないが、自分の上にいるのはまだ荒々しい世代の人々だったのだ。
・・・
机を整理していたら、新聞の切り抜きが出てきた。数年前の先輩のコラム。笑ってしまった。そうそう、ほんとうにさんざん聞かされたのだ。火事の現場からデスクに電話。報告がもたついていると、「お前、何年やってんだよ!」 あの、私まだ入社3ケ月目ですけど...(とはもちろん言えず)。アホ、ボケ、カス、頭が悪い、お前の仕事は認められないんだよ...これらを怒声で叫ばれるのだから、たまったものではない。夜回り先でしみじみと夜空を見上げなかった日があっただろうか。
が、しかしである。学生気分は一気に消え、あの数年で自身はどんなに成長しただろうかと思う。スポンジに水が染み込むように様々なことを吸収できる年齢、貴重で大切だった時間と思えるのは、デスクの言葉のおかげだったことは否定できない。では、自分は今、若いスタッフたちにそのような時間、環境を用意できているだろうか。いや、怒声を聞かせればいいというのではない。自身が何を目的にこの仕事を選んだのか。懸命に取り組み、悩み、時間を忘れて、がむしゃらにやって、疲れ、泣いて、またやってみて、しかし評価されず、傷つき、でももう一度やって・・・その繰り返しのなかで、徐々に近づく目標、ゴールだってあるのじゃないか。(Z)
投稿者:W・I・N・G 路をはこぶ 日時20:56 | パーマリンク
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